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今年も世界最大の中国ECイベント「W11(独身の日):11月11日」が近づいてまいりました。
これを踏まえて、中国越境ECで押さえておきたい重要事項「中国イベントの基本と傾向」をお伝えします。
■この記事のポイント
・中国の主なイベント内容、時期について
・世界最大のECイベント『W11(独身の日』とは
・近年の中国ECの傾向
■目次
★最後に
★中国のEC規模はどのくらいか?
日本におけるBtoC-EC市場規模は『20.7兆円(2021年度_前年比7.35%増)』に増加しています。
対して中国ECの市場規模は『2兆2970憶USD(2020年:約330兆円)』と約16倍の差があります。
世界最大の14億人の人口を抱える巨大市場・中国、その多くのユーザーに働きかける最も重要な事項の一つ
それが「中国ECイベント」での戦略です。
※出典:「令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」(経済産業省)
★どんなイベントがあるのか?
日本でも、7月のAmazon Prime Day(プライムデー)や12月のクリスマスセールなど、
決まった時期に行われるECイベントが定着しています。
中国においても、ECモールが主導する様々なイベントが存在します。
その中でも、特に話題に挙がる大型イベント ベスト5です。(名称は天猫モール準拠)
※開催時期は年度によって異なります。下記は2022年度の場合。
①W11(双11/独身の日) :11月01日~11日頃 (世界最大のECの祭典)
②618セール :06月01日~19日頃 (JindDong創業祭、中国2位の大イベント)
③38女王節 :03月03日~08日頃 (国際女性デーに合わせた女性向けセール)
④サマーセール :07月12日~15日頃 (夏季のイベント)
⑤W12(双12) :12月01日~12日頃 (BtoCモール『淘宝』発の大型ECイベント)
他にも暦にあわせた様々なテーマのイベントが実施されています。(名称は天猫モール準拠)
※中国祝日の多くは旧暦基準のため、毎年日程が異なります。下記は2022年度の場合。
・阿里年货节(元旦のイベント) :01月24日~29日
・天猫过年不打烊(春節・旧正月) :02月01日~14日
・天猫情人节(中国バレンタイン) :02月12日~14日
・520表白节(告白の日:我愛你のゴロ合わせ):05月13日~20日
・88狂欢节(88でゾロ目の日) :08月08日~11日
・99划算节(99でゾロ目の日) :09月06日~10日
・国庆大惠战(国慶節、建国記念) :10月01日頃(仮)
など
★世界最大のECイベント「W11/独身の日」
元々、11月11日(1が4つ並ぶ日)の「独身の日」は、『光棍節(独身者を意味する)』に独身者が集まってパーティーを開き、プレゼント交換をする風習が1990年頃から始まりました。
その後、大手ECサイト「アリババ」がこのイベントに注目、ECの祭典とすべく大型プロモーションを実施し、
2009年に初の「双11(W11)」を開催。初期のGMV(流通総額)は10億元(当時の為替で約155憶円)ほどでしたが、
他のモールも巻き込む形で年々拡大を続け、昨年2021年はGMV 5403憶元(当時の為替で約9兆6000億円)にまで拡大しています。(参照: AlibabaNEWS JAPANESE )
これは楽天市場の1年間のGMV_約5兆円(2021年)の2倍相当を、2週間ほどで売り上げたことになります。
2022年は10月24日夜8時から先行販売を開始、10月31日より第1波イベント、11月10日より第2波イベントを
開催します。(9/8時点 : アリババ公式発表より)
★大まかなイベントの流れ
例えばアリババが運営する天猫・天猫国際モールの場合、大まかな流れとして
①出店者とアリババ担当者用のSNSグループ(または個別打診)で、イベントの内容・大まかな日程の告知
そこで参加表明をする ← 場合によっては先着順!
②管理画面で正式なイベント要件が発表され、参加登録をする。
※その際、イベント時の配信枠に登録する商品を届け出ます。 ← 店舗のおすすめ商品を登録!
③参加要件にそって、商品・バナーを準備する。
※例:送料無料 / 300元の購入で、全店舗で使える100元OFFクーポン配布(Tmall負担)など
④イベント告知解禁日から、SNS・店舗上でユーザーに向けて発信
⑤当日用の店舗ページ切り替えを設定
※例:0時になったら、イベントバナーやTOPページデザインを変更。
⑥イベント当日!
超大型イベントであるW11などの場合、2~3か月ほど前からアリババ担当者との打ち合わせが始まります。
・今年はどんな目玉商品を出す予定か。
・セール価格はどうするか。
・広告費の予算はいくらか。
これらのヒアリングの元、トラフィックの割り当てが行われるため、11月のW11の場合、遅くとも9月中頃には店舗の準備が必要です。
★近年の傾向
・ライブコマースが主戦場に!
中国KOL(インフルエンサー)の購買影響力が圧倒的に高いのは言うまでもありません。
2021年のTmallでは人気KOLのTOP二人が飛びぬけて高く、10月20日のプレセール(本イベント前の予約販売のステージ)では
■李佳琦(Austin) :視聴者数 約3,616万人 / 売上 約1,907億円
■薇娅(viya) :視聴者数 約2,483万人 / 売上 約1,474億円 を記録しています。
・2020年以降、W11開催期間が延長
2019年までは「11月11日」のみを開催日としてきました(事前に先行販売を実施、決済日を11日に集中)
そのため、当時は11日当日分のGMVだけで2684憶元(当時の為替で約4兆1600億円)を売上げていましたが、ライバルであるJD(京東)は6月1日~18日の期間で「618」としてイベントを開催、中国で2番目に大きなイベントに成長していきました。これに対抗するため、W11の期間も延長され、現在は約2週間ほどの期間で開催されています。今年2022年度においても10月24日~11月11日までの、長いイベント期間が予定されています。
・中国政策「共同富裕」の影響
元々のW11は中国全土を巻き込んだ24時間のお祭り、として定着をしていました。
当日は専門のネット番組が24時間ライブ配信され、前日からアリババの特設会場には歌手グループや
海外アーティストを招いたコンサートが行われます。
また各店舗でも「0時~1時」は限定商品100個を9割引、「1時~3時」では限定商品Bを5割引で販売など
開始直後からユーザーを離さない施策が過熱、注文対応のため24時間体制でいる店舗も珍しくありません。
しかし2021年8月に中国政府が打ち出した「共同富裕」のスローガンのもと「格差是正」の締め付けが行われ、大手IT企業などでは独占禁止処置など、大きな制限が加えられました。
結果、大々的なキャンペーンやイベント、買い煽りとみなされる活動は自粛を余儀なくされ、2021年度のW11は前年よりも消極的なものとなりました。
今後も方針は変わらないとみられ、派手な広告露出や値引きといった施策よりも、ブランド力の向上、限定商品や商品企画といった地道な下準備と戦略が求められています。
★最後に
中国ECイベントについてまとめさせていただきましたが、いかがでしょうか。
弊社では自社ブランド商品「HAUT」を中国越境ECで展開していることもあり、
今後も海外ECの活用で役立つ情報発信をしてまいります。
国内外でのECコンサルのご相談も随時お受けしております。
ご不明な点がありましたら、是非ご連絡くださいませ。
それでは次回の投稿でも、よろしくお願いいたします!
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